第19回鵜澤の会公演「松浦佐用姫」を終えて②    ~舞台への道のり

とにかく、この曲は道具立てのとても多い曲でした。

道具立てというのは、必ずしも、大道具、小道具の事を言うだけはでなく、外側の演出上の問題点も含めてを指します。また、その道具たちをどのように効果的に使いこなすかは、通常も、ああでもない、こうでもないと、試すわけですが、今回はそれ以上に経験していないことが多くあったということです。
 いつもどんなに自分が演った曲であってもゼロスタートしなければいけないと、八世銕之丞先生は常々おっしゃっていました。それを自分も倣ってきたつもりですが、今回、まずはそのゼロ地点を作る所から、始めなければならなかった感じがしています。
本番までの積み重ねによって全部で100%に持っていくとしたら、今回は50%までは形作ることに費やしたように思います。
こういった能を舞台に上げるには150%(かどうかはわかりませんが)と思って、取りかからなければならぬものだということが、よくわかりました。勿論、数字であらわされるものではないことも確かですが・・・。
古代の話であることは、かなり意識していたつもりですが、おおらかな、あの時代に生きた女性であること、ある意味で自由な愛の表現のようなことができたら、と思ってはいましたが、なかなか難しかったです。
如何でしたでしょう。
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