新年おめでとうございます。昨年は舞台をご覧下さり、又、様々にご支援賜りありがとうございました。
昨年の能は、五月に「班女笹之段」(銕仙会定期公演)、七月「忠度」(国立主催公演)、九月「砧梓之出」(久の会)、十一月「一角仙人」(川崎市定期能)。十二月は「松風」を、光がシテで、久しぶりのツレ(村雨)をいたしました。
その他二月には虎ノ門ヒルズにて蜷川実花さんとのコラボで「胡蝶」、石川県立音楽堂主催で“和洋の響き”と題してオーケストラをバックに天の岩戸隠れとして舞いました。又、十二月には芝居「サド侯爵夫人」に出演し、十二月五日には韓国ソウルで日韓共同制作として新作能「望恨歌」をやり、十一、十二日と日本で再演しました。日韓両国の演技者、演奏者が舞台で力を併せて一つの作品として作ったことは喜びでした。かなり時間もなく大変でしたが、なかなか日韓のお客様からの評判は良かったそうです。
そして昨年は“伝統文化ポーラ賞優秀賞”という歴史ある大きな賞を受賞いたしました。今回は、全く外の世界からの受賞であり、私にとっては寝耳に水のような驚きでした。私にとって一番嬉しかったのは、受賞理由の中に一言も“女”という文言がなかったことです。能の表現にとっては演者の性別は関係ない、男も女もないのだということを信じて今まで、只々、能の道を歩んできた私にとってこの上ない喜びでした。これからも地道に良い舞台を目ざして稽古を続けて参ります。あと十年は健康に留意し、亡き寿夫師の言われた「能は演劇なんだ」ということが何であるのかを模索しつつ、進んで参りたく思います。
今年は、三月二十三日に久の会で「屋島」を“大事”という重い小書きにていたします。
“大事”(だいじ)は“弓流し”(ゆみながし)と“素働”(しらはたらき)という小書きを両方共やることを言います。五月に「胡蝶」を“物着”と言う小書で中入りせずに舞います。十一月は「葵上」を“古式”にてツレの青女房(あおにょうぼう)が出る演出にていたします。
光は、三月の久の会で「殺生石」を白頭の小書として女体の形で舞います。九月の銕仙会定期公演にて「巴」を、装束を替えることによって一層ドラマとしての面白さが増す演出にていたします。十一月は青山能にて「鵺」をいたします。
その他、三月九日(日)午後二時半開演で洗足学園百周年プレミアムコンサートで、能の「鵺」をテーマとしてクラシックギターとの共演をいたします。(詳細は同封のチラシにて)
何とぞ本年もよろしくご後援賜りますようお願い申し上げます。
今年の、久 光の出演予定をご案内させて頂きます。
〇第二十五回鵜澤久の会
三月二十三日(日)午後一時開演 於・(水道橋)宝生能楽堂
「屋 島大事 久
語那須」
「殺生石白頭」 光
〇銕仙会定期公演
五月九日(金)午後六時開演 於・(銀座)観世能楽堂
「胡蝶物著」 久 (六時から観世淳夫氏の「忠度」があります)
〇第三十五回川崎夏休み能楽体験鑑賞教室
八月三日(日)開演時間、曲目未定
〇銕仙会定期公演
九月十二日(金)午後六時開演 於・(銀座)観世能楽堂
「巴替装束」光 (次にご宗家の「融」があります)
〇銕仙会定期公演
十一月十四日(金)午後六時開演 於・(銀座)観世能楽堂
「葵上古式」 久 (六時から安藤貴康氏の「歌占」があります)
〇銕仙会青山能
十一月二十六日(水)午後六時三十分開演 於・(青山)銕仙会能楽研修所
「鵺」 光