異常な夏の暑さをやっと越え、秋も深まって参りました。
先月9日の亡父追善能も何とか無事、盛会裡に終了し、これも皆様のお力添えの賜物と心より感謝申し上げます。
舞台成果はともかくとして当日は多々不行届きの点がありまして、ご覧になられたお客様に対し、申し訳なく思っております。
今後このようなことのないよう、気をつけますのでどうかご寛怒くださいませ。
これからも私共はよい舞台成果をあげるべく健康にも留意し精進して参ります。今後共何とぞよろしくお願い申し上げます。
このたびの"姨捨"は本当に大変な曲でした。掴み取ることは容易ではありませんでした。
自分に出来得る限りのことはやったつもりでおりますが、それだけではとてもとても足りるものではありません。
今私はこの二度とないかもしれないことに挑んだことで、これから自分が何か新しい地表に立って行くことを信じて、このあとの舞台人生を歩みたいと思っております。
さて、来る12月8日(金)に、銕仙会定期公演で「藤戸」を"蹉跎之伝"の小書(特殊演出)で舞います。昨今の世界の情況をみていると"戦争"という怖しい言葉がとても身近になってきています。
そのような中でこの能はいわば"反戦"の能とも言えます。今私が稽古していると、息子を領主によって理不尽に殺された老母の嘆きがウクライナの名も知らぬ同じような境遇のお母さんの顔に重なります。
しかし、能に描かれる女は強いです。この能を演るたびに、みるたびに思います。"蹉跎"というのは、つまずく、まろぶという意味ですが、後半、殺された若い漁師の幽霊は、その無念を一体どこへぶつければよいのでしょうか。ご覧頂きたくご案内いたします。
今回は観世淳夫さん(春日龍神シテ)と事前講座を開きます。ぜひご参加下さいませ。
春日龍神は、一転春の光にあふれた明るい能です。来年は少しでもいい年になるようにそれも予兆させてくれる能になると思います。
12月定期公演"事前講座"
11月12日(月) 午後6時半より 於・青山銕仙会舞台
藤戸、春日龍神について
また、来年(2024年)の公演のお知らせもいたします。
銕仙会定期公演
3月8日(金) 曲:田村 シテ:鵜澤光
5月10日(金) 曲:班女 笹之伝 シテ:鵜澤久
銕仙会青山能
11月27日(水) 曲:自然居士 シテ:鵜澤光
第24回鵜澤久の会
9月29日(日) 曲:未定
公演のお申し込みは、下記よりご連絡ください。
メールアドレス
uhisa@bk.iij4u.or.jp
ticket@tessen.org
TEL/FAX
03-3782-0708