観世寿夫記念法政大学能楽賞とは・・・世阿弥の花の思想を体現し、常に"能とは何か"を問いつづけ、1978年12月7日、53歳で急逝した観世流の能役者、観世寿夫氏の能界劇界における業績を記念して、遺族からの寄金に基づき法政大学が1979年6月に設定されました。
第40回能楽賞 鵜澤 久氏(シテ方観世流)、杉 市和氏(笛方森田流)
<鵜澤久:贈呈理由>
観世寿夫の薫陶をよく保持しつつ研鑽を積んできた氏の舞台は、高い身体能力の上に鍛え抜かれた的確な技と作品に対する鋭い感性によって、性別を超えた独自の芸境に達している。特に2017年12月〈檜垣〉での密度の高い舞台成果は、多くの観客に深い感銘を与えた優れたものであった。
<鵜澤久コメント>
この度、観世寿夫記念法政大学能楽賞という素晴らしい賞をいただきました。去る12月7日の寿夫先生のご命日に公式発表されました。無上の喜びであり望外の喜び。信じられない夢のようであります。贈呈理由にある”性別を超えた”という一文は、まさに能という道を志してから貫いてきた大命題であり、寿夫先生がいつも言われていた「能は演劇なのだ」、その言葉があったからこそ、それを唯一の頼りに、一生をかけ自分の身体を通して追い求めるべく稽古に励んできたと自負しております。
そうした自分の思い、自分のやってきたことを、外側からも認めていただけた今回の受賞は、これは私にとってこれから先さらに歩んでいく道筋に、行くべき方向へと光をいただいたと思っています。これを新たな出発点として、更に更に稽古を積み、がんばって良い舞台をつくっていく覚悟でございます。
これまで温かく支えてくださった皆様、引き続き倍旧のご厚情を賜りたく、お願い申し上げます。
2018年12月12日
鵜澤久