『龍田移神楽』を舞い終わって。

 10月12日『龍田移神楽』を舞い終えました。
 まさに秋色たっぷりの舞台ではなかったと思っています。当社は紅色を愛でたもうにより…とシテが言うが如く、もみぢの出立ちでした。
 天冠には紅葉の葉を載せ、上に着ている舞衣の図柄はうこん色地にもみぢの葉(桜の花びらも)が散っているもので、腰帯ももみぢの絵柄、履いている赤の模様大口も水にもみぢの図柄。そして、移神楽の小書だったので、キリの型も常よりも橋掛かりに行ったりして、派手な華やかな型が多く、これといってドラマティックなストーリーが展開するわけではないこの龍田明神という能では女神として描かれているこの曲の視覚的な面白さが伝わったかなと思っています。
 今回の事前講座(10/5開催)では、舞囃子として同じ神楽を舞う「三輪」を舞いましたが、その違いを身体で感じたことも嬉しい経験でした。やはり、神としての強さが、三輪は神婚説話で神が人と交わるというある色っぽさといった、ある豊かなのどやかさ大らかさを演じているように感じますが、龍田はそれと異なって人間臭さは全く必要がないような常に神であることが大事であるようなそんな思いで舞っていました。

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